肉を盛りやすくするためにPico創傷治療システム(局所陰圧閉鎖療法)を導入することになる。
簡単にいうと、大きい絆創膏付きのジップロックみたいなもの。
コンプレッサーで絆創膏内の空気を常に吸い出して肉と浸出液を吸い出して治療を促進するというもの。
お毛けが多いと負圧不良の原因に。
実際漏れて一晩中ぶーぶーぶーぶーコンプレッサーが稼働していて寝れなかったことがあった。(机においた携帯のバイブくらい大きい音がする)
しっかりと剃毛することをお勧めする。
この時点で入院1ヶ月。
ピコをひと月つけて肉が再生するかどうかが勝負の分かれ目。
しかし30年前はこれよりもましな開放骨折でも一年もの入院が普通だったようだ。
義理の父が経験者で、3ヶ月ベッド上で仰向けはたまらんでと言ってはったが、言葉では表しきれないたまらんが容易に想像できる。
今は退院まで2ヶ月が基本なので医学は相当進歩したのだろう。
もうこの頃になると、8人位は同室の方を送り出していた。仲良くしてもらう人もいれば挨拶だけでなんの交わりもない人もいたが、大部屋なので仲良くやった方が過ごしやすいに決まっている。
デイルームはさみしい入院患者達のねるとん倶楽部(ふるっ)となることもあったが、私は最後まで遠慮した。
他の患者を送り出す度に母の迎えが遅くなって取り残された時に味わった気持ちを思い出し、夜がいつもより冷たく感じた。